美容師の新しい働き方とは? フリーランスや訪問型など働き方改革の現状を紹介
これまでの美容室での働き方は「独立」か「美容室で雇われる」かの2択が主流でした。しかし、働き方改革により最近では「フリーランス」「パート」「訪問型美容師」などといった、時間と場所にとらわれない働き方をする美容師も増えてきました。
このことにより、女性や育児中のママ、介護中の人でも美容師として働き続けることが出来るようになりました。この記事では新しい時代の美容師のあり方や、雇用主側はどう変わっているのかについて解説しています。
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新しい時代の美容師の働き方とは
従来の美容師の働き方
従来の美容師の働き方といえば「朝早くや営業後の無給レッスンは当たり前」「休憩はほとんど無し」「休日はモデルハントや勉強会で、休む間もなく1日が終わる」「長時間労働の割に薄給」といったことが当たり前でした。現在でもこのスタイルの美容室は存在しているかと思います。
ところが、時代の変化とともに美容業界の“当たり前“に疑問を抱く美容師が増えてきました。自分の時間を大切に考える人や、生活スタイルの変化によりスキマ時間で働きたい人が増えてきたのです。2019年4月からの働き方改革実施をきっかけに、雇用主側の意識改革も行われるようになりました。
過酷な環境…
現代の美容師の働き方
また、美容師の働き方も変わりつつあります。美容師のこれまでの主な働き方は、「美容室にフルタイムで勤務する」か「独立して店舗を立ち上げる」の2択が主流でした。その結果、女性美容師の定着率が非常に悪くなるといった現状がありました。美容師を続けるには時間の制約が厳しく、結婚・出産を期に美容師を辞める女性が増えたからです。
- 時間と場所にとらわれない働き方
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- パートタイム
パートタイムで働けるようになったことで、介護や子育てをしている美容師が現役で続けられるようになりました。拘束時間の面で、美容師を辞めざるを得なかった部分が大きかったからです。パートとして美容師を雇う側は、アシスタントから育てる必要がない即戦力を、手に入れることができるメリットがあります。 - フリーランス・派遣型
フリーランスや派遣型の美容師は、「美容師の仕事は好きだけど、職場の人間関係がつらかった」「独立したいが店舗を構えることに抵抗がある」層の美容師にピッタリの働き方となりました。SNSの発達により、集客やファン作りもSNSで行うことが出来るようになったのも大きいでしょう。 - 訪問型美容師
訪問型美容師は、高齢化社会のニーズにマッチしており今後更に需要の高まる働き方だといえます。介護老人福祉施設や長期入院の患者さんがいる病院、在宅介護の方たちの元へ美容師が赴いて施術をします。持ち運び式シャンプー台などもあり、美容師側は場所を選ばず仕事ができ、お客様も美容室まで出向かなくても良いというメリットがあります。
- パートタイム
「働き方改革」とは
少子高齢化となった社会で、働き手が少なくなり、介護や育児で従来のような働き方が出来なくなった人が増えました。また、SNSやネット環境の発達により、働き方は1つではなくなってきています。「働き方改革(関連法案)」とは、それぞれの生活スタイルに合った働き方を作るための法案です。
多様な働き方を選択できる社会へ
厚生労働省では
「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。」(厚生労働省ホームページより引用)
と、働き方改革の方針について挙げています。
2018年1月に「副業禁止規定」が削除されたことから始まります。これにより副業を許可する企業が増えました。同年6月には労働環境の改善を目的とした、雇用対策法や労働基準法に改正をはたらきかける「働き方改革関連法案」が可決されます。
その後2019年4月1日より、「働き方改革関連法案の一部実地」が行われました。実地内容は以下の通りです。
- 「働き方改革関連法案の一部実地」内容
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- 残業時間の上限を規制(月100時間・年720時間までなど)
- 有給休暇の義務化(年10日以上有給休暇がある人は、5日以上有給消化する必要がある)
- 産業医の機能強化(健康管理について産業医の権限が強化された)
- 勤務間インターバル制度(国は就労後9〜11時間の休息を推奨)
- 同一労働同一賃金(正社員と非正社員で給料を区別してはいけない)
- 高度プロフェッショナル制度の設立(年収1075万円以上の専門性の高い職務で本人が望んだ場合、労働時間等の規制が除外される)
この2019年4月の働き方改革関連法案の一部実地は、大企業だけでなく中小企業も従来の雇い方・働き方を見直すきっかけとなります。国は今後も、労働条件をより良くしていくために改革法案を実地していく予定です。
法律が変わってきたのね
美容業界の「働き方改革」とは
美容業界においても「働き方改革」は大きな改革でした。華やかな職業に見える美容師ですが離脱率が非常に高く、現実はいわゆる「ブラック企業」や「パワハラ問題」のような課題が多い業界です。しかし、厚生労働省では働き方改革の実現に向けて以下の取り組みも実施しています。
- 厚生労働省による働き方改革の実現に向けての取り組み
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- 長時間労働の是正
- 柔軟な働き方がしやすい環境整備(副業など)
- 子育て・介護などと仕事の両立
- 賃金引き上げ、労働生産性の向上
- ハラスメント防止対策
etc…
どれも、従来の美容業界ではあまり考えられていなかった事です。これまでの美容業界は、美容師の都合は考えられていないことがほとんどでした。不満があっても現状に我慢するか、独立して自分の美容室を持つか、美容師を辞めるしか選択肢がなかった時代も、終わりを告げようとしています。
いろんな選択肢があっていいよね
美容師の仕事環境を整える
つまり、「美容師は店舗に依存して働く」という常識は、美容師の働き方の変化とともにかわりつつあるのです。パートやフリーランス美容師の登場により、雇い主側の意識も変わってきています。雇っている美容師の美容室離脱を防ぐためにも
- 福利厚生の充実
- 就業時間の厳密化
- 営業時間外の無給レッスンの廃止
- 途中休憩・休日の確保
など、働き方の改革を行う雇い主も増えてきました。働き手である美容師が時間を有効的に使えることにより、「美容師+◯◯」といった付加価値をもつ美容師が登場している例もあります。雇っている美容師の環境を整えることは、美容師の質を上げ、お客様(ファン)の獲得にも繋がります。結果的に店の売上にも影響してくるのです。
さらに、1つの店舗にとらわれないフリーランス美容師の増加により「面貸し」という形の美容室経営をするオーナーも増えてきました。必要なときだけセット面や設備を貸し出す形の美容室です。
- POINT
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技術はあるのに「長い拘束時間」や「職場の人間関係」「無理なノルマ」「休憩・休日がない」などの理由で辞めてしまった、潜在的美容師の復活の場となりえる面貸し美容室。地方では、まだ浸透しているとはいえないフリーランス美容師や面貸しですが、今後増えてくることが予想されます。
まとめ
2019年4月の働き方改革関連法案の一部実施により、美容業界にも変化が起きていました。これまでの店舗依存型の働き方から、時間も場所も自由に選び活躍できるフリーランス美容師が増えています。また、介護や、結婚・出産で復帰を諦めていた潜在的美容師も、パート美容師という形で復帰できるようになってきました。
これにともない、雇う側の意識改革も行われるようになり、美容業界はこれまでになく大きく変わろうとしています。