整体院の開業で失敗しないために! 準備や費用、成功のポイントを解説
「整体院の開業を考えているが、どのような戦略で出店すべきか分からない」「開業で失敗しないために、何をしたらいいの? 」と悩む方は少なくありません。
今回は、必要な準備やよくある失敗の原因、開業を成功させるためのポイントについてまとめました。お客様が集まる整体院を経営していきたい方は、ぜひ参考にしてください。
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整体業界の廃業率は高い傾向
整体院の数は2018年ごろまで増加傾向にありましたが、供給過多になったことで、同業者間での差別化が難しくなりました。
また、2020年には新型コロナウイルスの影響などで小規模事業者をはじめとする多くの店舗が倒産に追い込まれ、関東・中部地方では約180店舗が破産しています。
そのほか、2021年には保険請求代行業者であるホープ接骨師会の資金流用問題が発覚し、メインバンクの口座凍結、そして会員である柔道整復師への保険療養費振り込みがストップしてしまいました。
現在、ホープ接骨師会は倒産していますが、保険審査の厳格化や社会保障費用削減などにより、市場規模は縮小傾向にあります。
柔道整復・鍼灸・マッサージ市場に関する調査を実施(2020年)
ホープ接骨師会が会員への振り込みストップ、前代表の資金流用で
厳しい状況なんだね
整体院の開業に必要な準備
ここからは、必要な準備として8つのポイントを紹介します。
それぞれ開業を成功させる上で欠かせないため、しっかりと確認しましょう。
事業計画書の作成
まずは、現状において何が足りないのか、どのようなプロセスで準備を進めていけば良いかを可視化するために、事業計画書を作成しましょう。
記載すべき主な内容は、事業内容に加えて事業をする目的や目標設定、マーケティングにおける戦略などです。
計画書の作成は、事業を効率化し、利益を最大化させることに繋がります。
- POINT
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- 事業計画書を作成し、事業の目的や目標を設定する。
開業届の提出
開業後は、開業届を提出しましょう。また、青色申告を行う場合は、青色申告承認申請書と一緒に提出することがポイントです。
青色申告承認申請書を提出すると、次のようなメリットがあります。
- 赤字を3年間繰り越せる
- 所得から最大65万円の控除が受けられる
- 自宅が店舗の場合、家賃や水道光熱費を経費計上できる
- 家族が従業員の場合は給与を経費計上できる
お得だわ
物件選び
店舗のオープンにあたり、適した物件を選びましょう。
開業地やターゲットによって適する物件は異なりますが、基本的に押さえておきたいポイントは、次の3つです。
- アクセスの良さ
- ランニングコストの低さ
- 競合店との位置関係
安定した経営をするために、これらの条件を意識してみてください。
慎重に検討しましょう
初期費用・開業資金の調達
整体院の開業にあたり、必要な初期費用は次の通りです。
- 物件取得費:約100万円
- 工事費:約200万円
- 設備費:約100万円
- 広告宣伝費:約30万円
- 備品:約10万円
あくまで平均ですが、店舗を借りた場合は約440万円ほどが必要になるでしょう。
開業資金を既に用意できていれば問題ありませんが、調達したいと考えている場合は、助成金や融資の申請をしなければなりません。その際は事業計画書が必要になるため、しっかりと作り込むことがポイントです。
- POINT
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- 助成金や融資で資金を調達することも可能。
- 申請の際には事業計画書が必要になるため、丁寧に作成しておく。
資格の取得
開業にあたり、必ず資格が必要になるわけではありません。
取得しておくと信用を得やすい資格としては、次の通りです。
- あん摩マッサージ指圧師
- 柔道整復師
- 鍼灸師
これらは全て国家資格であり、技術や知識の証明になります。ただし、それなりの勉強期間や費用が必要になるため、簡単に取れる資格ではない点に注意してください。
メニューや料金の設定
どのような施術を行うのか、メニューや各メニューについての料金を決める必要があります。
メニューは多ければ良いわけではないため、ターゲットとなるお客様に求められていることは何かを考えてみましょう。
また、地域や利用者に合わせて料金を設定することが欠かせません。安く設定しすぎると経営がうまく回らなかったり、反対に高く設定しすぎるとお客様が入らなかったりしてしまいます。
- POINT
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- ターゲットに沿ったメニューや料金設定にする。
備品の用意
施術に必要な備品についても、開業前に準備しておく必要があります。
準備しておくべき備品の例として、次のようなものがあります。
- 施術のためのベッド
- エアコンなどの暖房器具
- 待合室のテーブルや椅子
- カーテン
- 受付用のデスク
- カルテを入れる棚
- パソコン
施術内容や店舗の規模によって必要なものが異なるため、事前に確認しましょう。
リストアップしておこう
集客戦略
オープンして間もない頃は、十分な来店数が見込めないため、自社の集客戦略を考えなければなりません。
具体的には、ホームページの作成やチラシの配布、口コミサイトへの登録、SNSの運用などが挙げられます。
ターゲット層に合わせて、適切な手段を選択することがポイントです。
- POINT
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- ネットなども活用して、ターゲットに合わせた集客を行っていく。
整体院の開業で失敗してしまう原因
主な原因として、次の4つが挙げられます。
- 業界の競争が激化している
- 集客人数や単価設定が不適切である
- コンセプトが曖昧である
- 技術が不足している
一つずつ解説します。
業界の競争が激化している
前述のように、整体業界は供給過多の状況にあり、競争が激化しています。
保険診療が可能な整骨院や接骨院でも、施術に対するチェックが厳しくなっているため、実費比率を高めて経営を安定させることが重要です。
集客人数や単価設定が不適切である
集客人数や単価設定を間違えて開業すると、毎月のランニングコストが経営を圧迫し、失敗してしまう原因となりかねません。
スタッフが少ない場合は一度に対応できる顧客数も限られているため、いかに機会損失を防げるかが重要になります。
また、単価設定を間違えてしまうと「お客さんは来てるのに儲からない」「なかなかお客さんが寄り付かない」といった事態になってしまいます。
なんとなくで経営しちゃだめね
コンセプトが曖昧である
整体院に限らず、店舗経営をする上では明確なコンセプトを決めることが欠かせません。
ターゲットを広く取れば良いわけではなく、競争が激化している状況下においては、ある程度コンセプトを絞った経営スタイルも求められるでしょう。
得意な分野に特化し、店舗独自のコンセプトを掲げることが競合店との差別化に繋がります。
- POINT
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- 自店のコンセプトを明確に持ち、得意分野に絞る。
技術が不足している
いざ施術を受けに来ても、症状が改善されなかったら「あの店は技術が大したことない」と思われてしまいます。
施術前と施術後で効果が見られないと顧客満足度を下げてしまうため、十分な技術を身につけることは大前提として欠かせないポイントです。
コンセプトを絞り、必要な技術を身につけることで効率的にスキルアップできるかもしれません。
お客さんをがっかりさせたくないね
整体院の開業を成功させるためのポイント
成功に向けたポイントとして、次の3つがあります。
- ポジショニング・ブランディングをしっかりと行う
- 新規顧客だけでなくリピート客も取り込む
- 十分な知識と技術を身につける
それぞれ解説します。
ポジショニング・ブランディングをしっかりと行う
コンセプト決めと同時に、自店舗は市場においてどのポジションを取りたいのか、どのようなブランディングでアプローチしていくのかを決めることが欠かせません。
お客様からすると、あなたの店舗が一つのブランドとなるため、来院してくれる人のどのような悩みを解決できるのか、どのような効果を提供できるのかについて考えてみましょう。
来てくれる人にとってのメリットを明確にすることがポイントです。
- POINT
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- お客様に何を提供できるのか、アプローチの仕方を定めブランディングしていく。
新規顧客だけでなくリピート客も取り込む
一般的に、新規顧客よりもリピート客のほうが集客コストがかからないため、費用対効果が高いのが特徴です。
来店数が少ない場合、新規顧客を増やそうと考えがちですが、リピートしてもらえると今後も安定的に来店してもらえるため、経営の安定に繋がります。
具体的な施策としては、問診票でメールアドレスを記入してもらい、定期的にお知らせやキャンペーン情報を配信するなどがあります。
お得な情報ならうれしいわ
十分な知識と技術を身につける
整体師として開業する上で前提となりますが、施術において十分な知識と技術を身につけることが欠かせません。
どれほど魅力的なコンセプトでポジショニングが明確であっても、技術力が不足していたり、施術者としての知識が不十分であったりすると、信頼を失ってしまうでしょう。
ある程度スキルを身につけたら終わりではなく、日々生み出される新しい技術を学び続けていくことが大切です。
常に向上していく気持ちも大事だね
まとめ
今回は、整体院の開業にあたって必要なことや失敗の原因、成功させるためのポイントなどを紹介しました。
独立して開業する場合、施術者として十分な技術や知識を持っているだけでなく、経営者として経営を回すためのスキルも必要です。また、ある程度スキルを身につけたらそこで終わりではなく、施術者として貪欲に学ぶ姿勢も忘れてはなりません。
競合店に負けない強みを活かし、経営を成功させられるようにしましょう!