美容師の労働時間の平均は?まずは労働基準法を知ろう

美容師の労働時間の平均と労働基準法の説明

どの業界においても働き方改革を推進している中で、従業員の雇用を守りながら労働条件を良くしていくために企業側の負担も大きくなってきていますが、生産性は向上させていかなくてはなりません。そんな状況の中で、大多数の美容室は個人経営で、従業員に対しての雇用する責任が経営者には大きくのしかかってきます。

それは、美容業界の場合、技術レベルを上げるために個人としての練習をし、確実にレベルを上げていかないとスタイリストにはなれないからです。

スタイリストになったとしても、多くのお客様に支持されるトップスタイリストになるには、技術レベルだけでなく、顧客に対してのプロとしてのアドバイスはもちろん、その会話力、提案力、接客力、ときにはとらえ方や考え方までも話さないと信頼されず、自分の位置をキープすることが出来ません。

ここでは、信頼される美容師を目指す方々にどのくらい働けばいいのかを解説していきます。

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美容師の労働時間は?

夜遅くまで店舗に電気がついている美容室をよく見かけます。遅くまで働いているのかな? と思いますが実際はどうなのでしょう。

そこの美容師さんの労働時間はどうなのでしょうか。また、他のお店はどうなのかも気になる所です。

ここでは美容師の労働時間やそのルール、長時間勤務の原因である「営業終了後の練習」などについてまとめます。

美容師の労働時間の実態を知ったうえで、より早くスタイリスト・トップスタイリストになっていただきたく、自分に合ったサロンを探してください。

労働基準法だとどうなるの?

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  • 6時間を超える労働には45分、8時間を超える労働には1時間以上の休憩が必要
  • 最低1週間に1日の休日、または4週間で4日以上の休日を与える
  • 6ヶ月の継続勤務で8割以上の出勤がある場合は10日間の有給休暇を与える
  • 日本では長時間労働は当たり前のことと思われてきました。残業するのは当然と言う社会の慣習が、今ではブラックとされブラック企業、ブラック職業として取り沙汰されています。

    当然、美容師も長時間労働が慣習化されています。

    厚生労働省では、労働者が「安心、快適に働くことが出来る環境づくりを目指して」をコンセプトに労働基準法が定められています。

    これは、労働者が健康的に安全に業務に従事でき、労働災害の補償を実施するものです。

    また、「働き方改革」と称し、さまざまな改善が提案され、長時間労働も上限を規制することを定めました。

    • 原則として月45時間、年360時間を上限とします。
    • 臨時の場合、原則の45時間を超えるものは、6か月までとします。

    これにより、ワーク・ライフ・バランスと呼ばれる仕事と生活の調和の実現が可能になります。

    髪をカットする美容師

    美容師としての通常勤務体系は、労働基準法に基づきその勤務する美容室の就業規則に定められています。個人事業主の美容室では、就業規則がない場合もあります。この場合にはこの労働基準法に基づき働かなくてはなりません。

    労働基準法では、労働の上限時間が決まっていて「1日8時間、週40時間」と定められています。

    サラリーマンなどの勤務時間のルールで「1日8時間、週5日勤務」と言うのはこの労働基準法から成り立っています。

    また、6時間を超える労働には45分、8時間を超える労働には1時間以上の休憩が必要になります。

    休日も、最低1週間に1日の休日、または4週間で4日以上の休日を与えなければなりません。

    さらに、6ヶ月の継続勤務があり、6ヶ月の期間中8割以上の出勤があった場合には10日間の有給休暇を与えなければなりません。

    残業代

    point

    週の残業時間は15時間まで

    週40時間を超えて労働させることも可能ですが、この場合には雇用者に残業代を支払いしなくてはなりません。

    さらに、週の残業時間は15時間までと定められています。

    この時間を超えて残業させることはできません。

    この労働時間に於いてトラブルになるのがこの残業規定です。

    「給与には残業代も含む」と文章を入れて置き残業代を支払わない経営者もいます。

    給与に残業代を含む場合は「月○○時間までの残業代を含む」と具体的な時間数を明記しなければなりません。

    そこで、美容室の就業規則はこの労働基準法に基づいて作られています。

    但し、勤務する出社時間や退社時間などは、それぞれの美容室の立地条件や営業時間により定められています。

    早朝出勤

    また、お客様のご予約等で、早朝出勤する場合などもあります。

    ただ、美容師の世界では一部この労働基準法を守らない行為も見受けられますが、美容師に憧れて入って来ている人が多い為、問題を表面化させる人が少ないのが今の実情でもあります。

    さらには、美容師として女性の多くは結婚・出産など一時的に働けなくなる期間があります。

    通常は、退職して子育てするようになりますが、また美容師として同じ美容室で働けるように経営者側でも雇用形態を多様化させることが進んできています。

    • パート勤務
    • 業務委託、業務契約など

    雇用形態を柔軟にすることで経営者側にも雇用される側にもお互いにメリットが発生してきます。

    但し、この場合スタイリストとして売上をつくれるベテランにならないと経営者側も雇用形態を多様化させて考えることはありません。

    あくまでも美容師として技術を習得してお客様に信頼されているスタイリストだからこその特権にもなるのです。

    美容師の業務改善と効率化を考える

    • POSシステムの導入

    予約や顧客管理 → 電子カルテによる共有化
    レジ締めの簡素化 → 人為的ミスの防止
    業務用・販売商品の在庫管理
    各種データの共有化

    • シフト制による時差出勤

    店舗の営業時間内で早番・遅番の2部制のシフトにする
    ルーティンワークのシフト制 → 新人でも全員が出来ないとならない業務と担当者の業務との区分け

    • ワークフローのマニュアル化

    緊急事態での対応策(スタッフの病欠やその他緊急を要するときの対応方法)
    開店準備マニュアル
    閉店業務マニュアル

    • 福利厚生の充実

    従業員の士気を向上させ、業務の効率を上げる
    リフレッシュ休暇の採用
    慶弔休暇
    残業代の支給

    美容室に於いて適正な労働時間にすることは現状に比べて労働時間の短縮になり、スタッフの志気を高めることにつながり、仕事に対する活力も生まれてきます。

    また、美容室を経営する経営者に人を雇用するという自覚と責任が生まれてきます。

    日中は練習やその他の業務ができない

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  • 「長時間労働」
  • 「休憩が取れない」
  • 「休日が取りにくい」
  • 法律的に改正していく中で、美容室の勤務は、「長時間労働」「休憩が取れない」「休日が取りにくい」と、時間と休日に関して一般企業に比べると厳しい現実があります。

    また、このようなマイナスイメージにより離職率も高く、人手不足が問題になってきています。美容師の長時間労働は営業時間終了後の閉店準備、レジ締め、後片付け、翌日の準備等に時間が掛かりすぎる為に時間だけが過ぎて行ってしまいます。

    その後に行われる練習時間は個人のトレーニングのため、残業時間に含まれない店舗がほとんどなので従業員には大きな負担となっているのも現実です。

    さらに予約状況によっては休憩時間も取れないこともあります。

    また、予約が休日に集中するため、友人の結婚式など土日には休めないのもよくある話です。

    スケジュールに頭を抱える女性のイメージ

    美容室の業務改善や見直しが必要

    point
  • 技術や接客方法、お店のコンセプトに基づく展開方法を学び直す
  • 美容師の仕事の特徴として、日々磨いてきた技術でお客様をもてなし、ご希望のヘアスタイルをつくり、満足していただくことになります。

    そのためには、お客様に提案する案内書POP、資料などを制作する作業も必要になります。

    お客様に分かりやすく、必要性を表現しなくては目にも止めてくれません。

    営業時間中はご来店するお客様の対応で忙しい為、案内書・POP制作や集計作業など集中して作業が出来ません。

    そのため、営業終了後に案内書・POP制作や集計などの業務をこなさなくてはなりません。

    最終のお客様がお帰りになったら、店舗の清掃、タオルやクロスなどの洗濯、1日の集計、新しい案内書・POP制作などの業務をしていると、2~3時間はあっという間に過ぎてしまいます。

    その後で、個人トレーニングをしなくてはなりません。

    複数の店舗展開している所や、グループ化している所では、POP制作や、案内書などを専門に作る部署があったり、集計などもPOS管理していたりと、その業務の軽減化を図っています。

    ですが、一般的にはお客様にかかわる業務、店舗を運営するための業務、店舗を管理していくための業務と全ての作業をこなしていかなくてはならないのも美容師の仕事になっているのが現状でもあります。

    美容学校を卒業してもそれぞれのお店の技術や接客方法、コンセプトに基づく展開方法などを1から学び直さなければなりません。

    そうしないとそれぞれの美容室のコンセプトに基づいたご案内が出来ないからです。しかも、お客様から信頼され、売上をつくれる美容師にはなれないのです。

    営業後に練習することも多い

    美容師は自己の技術レベルを向上させる為に、日々惜しまない練習を繰り返して技術を磨いています。

    これは、残業ではなく個人のトレーニングになります。

    店舗を借りて、練習に良い環境で自己の技術レベルを上げるために練習に励みます。

    アシスタントであれば、シャンプーから始まりテストに合格したら、次にヘアカラーの塗布、ワインディング(パーマのロッドを巻くこと)、アイロンテクニック、カットへと覚えなくてはならない技術の習得がたくさんあります。

    技術習得のため練習をする美容師

    また、そのほとんどがウィッグを使って人頭に見立てて行いますが、同僚や先輩方、モデルの方々に頭を借りて実際に人頭でも練習します。ウィッグとは違って頭皮や髪がひっかかったりして痛みを言われたり、時間が掛かりすぎて気分を害されたりもします。

    また、スタイリストになっても、デザインの幅を広げるためには新しいカット技法などを習得していかなければなりません。

    この場合、モデルに似合わせる為、頭のつくり(骨格)や、顔だち、顔色などを考慮してカットしていくので、カットできるカットモデルが必要になってきます。このカットモデルも自分自身で探さなくてはなりません。

    さらに、トップスタイリストともなれば1つの流行として世に広げていくために作品としての撮影や動画づくり、コンセプトやコメントなどの文章、具体的なアピール方法としての雑誌への掲載、SNS戦略などを考えていかなくてはなりません。

    また、コンテスト等への参加の場合、連日深夜まで特訓したりして帰るのは夜中、なんてこともあります。

    成長していく過程において、練習練習また練習とトレーニングの日々になりますが、これはすべてお客様をもてなすための技術の習得のためになります。

    お客様に満足していただき、最高の笑顔にするのもあなた美容師です。また、お客様からのお褒めの言葉が、あなたを最高の笑顔にしてくれるのでしょう。

    美容師の学びは勤務時間以外にも

    美容師を志す方や、現在美容師の方は練習に明け暮れているかもしれませんが、プライベートの時間も多くの学びを習得できることを理解してください。

    お客様とのコミュニケーション力は、色々な情報・知識、さらにはプライベートの時間から学ぶことの方が多いと思います。

    色々な所に行ったり、見たり、体験したり、いろいろ経験することで相手に分かりやすく伝える会話力を高める方法になります。いいとされる事や物に触れることで、自身の向上心や価値を高められます。

    ゆえに、プライベート時間を有効に活用できる美容師の方が、多くのお客様と自然に話題を合わせることが出来、信頼につながって行きます。

    また、美容師自身がお客様の立場になる、エステやネイルやスパなどを体験することも必ずプラスになります。POP制作したことのある方であれば、街を歩いているだけでも様々なPOPが目に飛び込んできます。

    顔のエステを受けている女性

    その時に、字体やバランス、配色などの色づかい、キャッチコピーなど、参考になるものがあふれています。

    それを自分の物に出来るかは、あなた自身がアンテナを張って見ているか否かによって変わってきます。上手いPOPは何が違うのか、下手なPOPは何がダメなのかを意識して観察すれば自身のスキルアップにもつながります。

    インテリアショップでいろいろなアイテムを見て、これはここに使えるとか、リサイクルショップで掘り出し物を探す、100円ショップでも安くてもオシャレなアイテムを探すなど、こんな便利なものがあることなどを知っておけば、いずれ役に立つことがあるでしょうね。

    将来的に開業を考えているのであれば、街中のいろんな店舗やそのサービスから学ぶこともありますし、いろんなお店の売上予測をしていくうちに会計の事、経営の事などが自然と身についてきます。

    また、町の動線を探ったり、時間帯による流れを見たりすることで、ここになぜこの店が出来たのか立地条件を探る手助けにもなってきます。
    この様に美容師が休日に出来ること、すべきことはたくさんあります。興味を持ったところから街を探索してみましょう。

    まとめ

    社会は大きく変化してきています。また、進化もしつづけています。仕事としてのオンとプライベートでのオフ。プライベートでのオフの充実感によって、翌日や次の勤務日の活力を養えます。

    そうすることでワーク・ライフ・バランスを保ちながら健康的に人間性や社会性を備えた美容師へと成長していきます。

    この美容業界もそういった社会の変化に柔軟に対応することで、より良い人材が集まり、優秀なスタイリストへと成長することで、美容室やその企業も繁栄していくのではないでしょうか。

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