美容室のブライダル事情と美容師が求められる必要なスキル

花嫁のイラスト

結婚式場やホテルで提携している美容室だけではなく、フリーランスの美容師個人にもブライダルヘアメイクを依頼できる時代になっています。

ブライダル業界と非常に縁が深い美容室。

この記事では

ブライダル業界と美容室の変遷や事情
ブライダル美容師の外注化
プロが行なうブライダルヘアメイクとは

上記について、詳しく解説しています。

▼ 目次[表示] ▲ 目次[非表示]

ウェディングのためのヘアメイクサービス

花嫁のヘアスタイルの後ろ姿

美容室によってはウェディング向けのヘアメイクメニューがあるところもあります。

美容室自体でブライダル全般請け負うところもあれば、式場に出向き出張ヘアメイクを行なうところなどさまざまです。実際の結婚式までの流れはほとんど同じで以下になります。

カウンセリング→打ち合わせ→リハーサルヘアメイク・調整→本番

基本的に花婿・花嫁に対するヘアセットなどがメインですが、当日身内の着付けやヘアセットなども一緒に請け負うケースもあります。この場合は美容師の人手が必要なため注意が必要です。

そのほかフリーランス美容師が、ウェディング向けのヘアメイクを出張で行なうことも増えてきました。SNSの発達により、インフルエンサーと呼ばれるやり手美容師が注目されるようになり、SNS上から直接依頼されるといった形です。

ブライダル業界の変遷と美容室のブライダル事情

結婚式で花婿と花嫁が手をつなぐ様子

時代の変化とともにブライダル業界や従事する美容室にも大きく変化がありました。

ブライダル業界の変遷

ブライダル業界の始まりは明治時代。写真館と美容師が提携して記念撮影をしたことから始まります。これをきっかけに、その後ウェディング産業が本格的になりました。

1980〜1990年代にかけて特にブライダル業界は活発になり、専用の式場やチャペルなどが増えてきます。バブル時代にはとにかく派手に結婚式を行なう「ハデ婚」が大流行しました。一般人でもゴンドラに乗って登場したり、お色直しが何度もあったりと景気の良い結婚式が普通に行われていた時代です。

そして2000年代以降は更に結婚式の規模はミニマムになっていきます。最低限の身内だけで行われる結婚式や新婚旅行を兼ねて海外で二人きりで式を上げるハネムーン婚、写真撮影だけのフォトウェディングに結婚式自体行わないナシ婚などです。

女性

時代によって変わるのね

美容室のブライダル事情

結婚式場やホテルで結婚式が行われることが主だった時代は、サロン全体で提携してブライダルヘアメイクや着付けなどを式場で行ってきた美容室がほとんどでした。しかしブライダル業界が変化していくごとに、サロンごとでの提携から美容師個人ごとでの提携という形に変化しつつあります

またフォトウェディングが流行りだした頃は、グレーゾーンとして行われていた撮影スタジオでのブライダルヘアメイクですが、2017年8月15日以降は、取り決めが厳しくなっています。美容師法施行令第4条第2号では「婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に美容を行う場合」に限っては、美容室以外で出張美容しても良いとされています。

しかし、フォトウェディングの場合は「婚礼」に当たらないとの判断が経産省からされてしまいました。そのため美容所登録されていない撮影スタジオでヘアメイクなどをしてはいけないことになっています。これにともない、美容所登録をする撮影スタジオも増えてきましたが、美容師側から確認することも大切です。

ブライダル業界の始まりは写真館と美容師の提携による記念撮影だったというのに、少し悲しい話でもあります。

POINT
  • フォトウェディングが行われる撮影スタジオが、美容所登録されているか確認する必要がある。

ブライダルスキルを持つ美容師はフリーランスや派遣で確保

ブライダルの現場で美容師が求められる必要なスキルは主に次のとおりです。

ブライダルで美容師が求められる必要スキル

  • ヘアセット
  • メイク
  • ネイル
  • 着付け

ヘアセットやメイクの技術を持つ美容師は自身の美容室で確保が容易ですが、それに加えネイルや着付けまでが出来るスタッフというのは少ないのではないでしょうか。

またブライダルの現場はサロンワークとは異なる点も多く、ブライダル経験者の知識は必須とも言えます。

必要なブライダルスキルや経験を持つ美容師は、フリーランス美容師やブライダル専門の派遣美容師を雇うのが、間違いないでしょう。さらにブライダル専門の派遣美容師を雇うことで得られるメリットは多いです。メリットは以下のとおりです。

嬉しそうな女性

ネイルや着付け、楽しそう

派遣美容師を雇うことで得られるメリット

  • 福利厚生費などのコストカット
  • 必要期間のみピンポイントで雇える
  • 知識や経験を積んだ、即戦力が手に入る

新しく美容師を雇い直したり、既存のスタッフに新しい技術を突貫で習得させるよりもコストカットできます。また必要期間のみ、つまりカウンセリングやリハーサル、当日のみ雇えば良いため給与の削減もできます。

ブライダルに特化したフリーランス美容師や、フリーランス専門の派遣美容師は当然経験も知識も豊富です。このような即戦力をコスパよく手に入れられるのは、大きなメリットと言えるでしょう。既存のスタッフと、ブライダル特化美容師で協力すればお客様へ最高の時間・技術を提供できます。

ブライダル特化美容師を外注する場合は、美容室に以下を準備しておくと親切です。

着物の着付けやドレスの試着が可能なフィッティングルーム
簡単な写真撮影が出来るスペース
全身鏡

講師の女性

場所の確保や準備物するものも忘れずに

美容のプロが行うブライダルヘアメイクとは

花婿と花嫁が手でハートをつくっている手元

プロのブライダルヘアメイクは、髪のセットやメイクだけが仕事ではありません。サロンワークと違い、ブライダルの現場で求められるプロとしてのスキルは技術以外にあります。それは花嫁のメンタルサポートです。

花嫁の不安感や緊張感をなくし、笑顔にさせるのもブライダル美容師のプロとしての仕事。どれだけ親身に話を聞き、寄り添えるかが重要になってきます。マリッジブルーといって、結婚前の女性はこれからの環境の変化による不安感からメンタルが不安定になる傾向があります。

結婚前の女性のうち約半数がマリッジブルーになったと答えており、身内ではない立場の美容師が親身に話を聞いて不安を取り除いてあげることは花嫁の大きな支えになることでしょう。またサロンワークのように「施術したら終わり」ではなく、その後結婚式が終わるまでブライダル美容師は花嫁を細かにチェックし続ける必要があります。

写真撮影前にはヘアセットやメイクの崩れを直したり、お色直しのときにはヘアセットやメイクを変えたりはもちろんです。結婚式が終わり、2次会へ行くために少しカジュアル目なヘアセットやメイクに直してあげる気配りも大切です。

POINT
  • 花嫁の精神的なサポートや気配りも心がけておく。

花嫁の要望に答え笑顔で結婚式を終わらせる

ブライダルヘアメイクアーティストとして活動するには、資格は必要ありません。

しかし、美容師免許があったほうが当然活動には有利です。当日になってヘアセット後「前髪はもう少し短いほうが収まりが良いから切ってほしい」と要望があったり「毛先を少しカットしたほうが動きが出るな…」となった場合に、美容師免許がないと髪を切ることが出来ないためです。

結婚式は花嫁が主役とも言われる、人生における一大イベント。花嫁の要望にしっかり答え、余計な不安もなく笑顔で結婚式を終わらせることが出来るのが”プロのブライダルヘアメイク”といえるでしょう。

講師の女性

周囲に気を配りながら、式のサポートをしていきましょう

まとめ

昔は結婚式場やホテルで盛大に行われていた結婚式ですが、時代とともに規模が小さくなっている傾向にあります。それにともない、美容室全体でブライダル事業に従事していた形から、美容師それぞれが持つスキルを活かして個人で提携していく形に変化しつつあります。

どんな形にせよ、ブライダルと美容師は切っても切れない関係です。新郎新婦の笑顔のために全力で頑張れる美容師こそが、プロのブライダルヘアメイクアーティストといえます。

関連記事