美容室の売上はいくら必要? 独立前に知っておきたいお金の話

独立した女性と美容室のイラスト
▼ 目次[表示] ▲ 目次[非表示]

美容室の規模を解説

美容室と言っても、都内の有名サロンから、地方都市の駅前にある美容室、郊外にある駐車場の広い美容室、住宅街にある美容室、自宅と併設されている美容室と、立地条件によって様々な形態で営業されています。また、美容室の方向性や考え方で営業時間や定休日などが違ってきますよね。

ですが、美容室の売上構造を構築していくのは、セット面の数やシャンプー台の数によって1日に対応できるお客様の人数の上限が決まってしまいます。その上限の人数の集客があれば次の展開として出店や移転拡張などを考えなくてはなりません。ですが、足りていないようであれば集客を見直さなければなりません。

何で集客するのか?
ターゲット層は?
どんなカウンセリングをするのか?
何を提案していくのか?

など、自店の強みとなる事柄を極めているのかということになってしまいます。ですから、美容室の規模と言っても、実はセット面の数とシャンプー台の数で決まってしまいます。あとは、その規模に合わせたスタッフの人数でも、スタイリストとアシスタントのバランスによって1日の処理能力が変わってきます。

オーナーの考えとお客様のイメージの違いで、失客なんてこともあり得ます。

「駅前ならこうだよね」というお客様のイメージと「駅前だからこの価格で」というオーナーの考え。残念なことにお客様は駅前だからトレンドの最先端を求めていたのに、その美容室は激戦区の駅前だから他より安さを提供してしまいました。さらには、スタイルをつくるだけでお客様をマネージメントする情報すらお話ししてませんでした。

これは、田舎のアットホームなお店なら流せる話ですが、駅前のサロンでは許されないです。立地条件によって、お客様が求める真髄も変わってきます。先ずは、自店の能力の再確認から始めましょう。

美容室で使うドライヤー、ハサミ、クシのイラスト

小規模美容室の平均客数と平均単価

今現在、従業員数が1〜2人の美容室が多く(従業員数は2.1人)、個人店は90%が個人事業主となっていて、住宅地に立地していて小規模での展開が多いです。スタッフ人数も少ないのでアットホームな雰囲気での展開が出来ます。開店~閉店までの一連の業務をこなしながら、技術トレーニングもこなしていかなくてはならないので、拘束時間は長くなります。オーナーとの距離感が近い為、運営や経営なども学べるメリットがあります

小規模美容室の平均客数と平均単価

スタイリストが最初から最後まで担当することが多い為、時間の制限により客数は変わってきます。メニュー内容にもよりますが、1人当たり平均90分とすると、8時間労働で5.3人しか対応できません。しかも休憩なしです。

ですが、現実は稼働率65%と考えるのが正解だと思います。お客様が施術するメニューを決めてくる場合が多い為、カウンセリング等で提案しても「今日はいいや」と断られることが多いのも現実です。その為、単価を上げづらいのも事実です。この場合は、次回はこうゆうスタイルにしませんか?と事前にスタイル提案しておかないと、高単価メニュー(組合せ含め)を施術していただけません。

中大規模美容室の平均客数と平均単価

複数店の多店舗展開をしている美容室は、法人(株式会社、有限会社)登記しており、従業員数も多く戦略的に展開しています。それだけに、求人から教育、メニュー内容や接客レベル・技術レベルの向上、取扱商品や販促物の種類や展開方法や、入出金・経理など運営していくためにやる事も多くなります。

中大型店舗ではスタッフ人数が多い為、美容室でのルールやマニュアルがしっかりと出来ています。また、仕事の内容的にも分担されやすい傾向があり、フロントコンシェルジュ・スタイリスト・カラーリスト・スパニスト等、専門的に能力を発揮できるのも大型店ならではの特徴です。

中大規模美容室の平均客数と平均単価

施術メニューの大半をアシスタントが担当している場合が多い為、スタイリストはお客様を掛け持ちして対応していきます。その為、時間に対して効率が良く客数も多く対応できます。前回の提案内容に合わせ、カウンセリングでの提案内容がカギを握ります。ご希望のスタイルや髪質を聞き出しながら、また毛髪診断しながら、今の髪の現状と合わせて施術メニューの提案を行っていきます。

その提案こそが客単価アップにつながり、質の良い仕上げにもつながり顧客の満足度が上がっていきます。美容室の平均客数と平均単価を参考にして、自店のデータと比較しながら新しい戦略を立てていきましょう。

美容室の売上の平均は?

全国の美容室の平均客数と平均単価で、危ない経営の平均年商かどうかが分かってしまいます。美容室の平均月売上は1,121,032円で美容師の売上の平均は56万円です。

美容室、美容師のそれぞれの月平均売上

平均から算出する1ヶ月平均売上

1日平均客数6.55人×平均客単価6,846円
=美容室の一日の売り上げ44,841円

1日売上44,841円×稼働日数25日
=1ヶ月売上1,121,032円

これはすごく単純な計算になりますが、全国の美容室の平均年商は、

1ヶ月平均売上1,121,032円×12ヶ月
=1年間の平均年商は13,452,390円

1店舗当たり2名とすると、1人当たり560,000円となります。これは、全国の平均値ですので、56万×スタッフ人数があなたのお店の売上高となります(スタイリスト+アシスタント+他の合計人数)。多いか少ないかで次の戦略を考えましょう。

年間利用回数やリピート率は?

お客様の美容室の利用回数は、年間で平均4.48回というデータが出ています(美容人口の女性:リクルート調べ)。

これにより、お客様が美容室の使う金額が年間で30,670円になります。あなたのお店のお客様はどうでしょう?

比較する参考値になればと思います。但し、リピートに関しては、全国のデータから読み取ることはできません。カルテ管理をして再来店しているか、失客していないかをチェックする必要があります。

また、顧客のリピート率と新規客のリピート率を別で集計した方が次の戦略に役に立ちます。それと、施術されるメニューが毎回同じではないので、リピート率とは別にメニューのリピートもチェックすると良いでしょう

「パーマしてたのにしなくなった」「ヘアカラーをしなくなった」必ずしなくなった原因があります。「そんなことで」という内容だったりもしますので、それとなく聞いてみると原因が分かってきます。

ここは、データで出るものではなく、カルテを良く見てチェックするしかありません。「どれだけお客様に気を掛けているか」からしか読み取れない内容です。もう一度カルテをしっかりと良く見てチェックします。客単価にも影響してきますからね。

美容室の問題点と改善策

問題点と言うのは美容室それぞれに違ってきます。その問題点に気づくお店と気づかないお店では改善の方法も違ってきます。先ずは問題点と思われる事柄を書き出してみましょう。この時、スタッフが思う問題点とオーナーサイドで思う問題点の違いを認識することです。

問題点を書き出したらその問題を解決する方法を探し出します。そうやって1つ1つ改善していくことしか方法がありません。また、誰も解決してくれません。後は改善策を行動に移すことになりますが、行動計画書などをつくり、スタッフルールなどに貼り出して全員で意識して行く事が大切になります。改善策とは、スタッフ1人1人のココロの持ちようで決まってくるんです。それこそがスタッフの成長でもあり、お店の成長にもなるんですね。

まとめ

美容業界の動向として、ここ10年で美容室は5万店増えて25万店舗に。美容師の人数もこの20年で1.6倍の52万人になりました。美容師免許取得者は2013年から横ばいで毎年2万人ほど増えています。

平成16〜17年頃の美容師免許取得者が約3万人と最も多く、ちょうど美容師歴も15年前後で、この年代の新規オープン希望者が増大する見込みとなっています。
また、経営者の高齢化も進んでおり、60〜69歳が32.4%(平成22年は25%、10年で7.4%アップ)、70歳以上が19%(平成22年は10%、10年で9%アップ)と美容業界の高齢化社会も同時に進んでいます。

様々なデータを用いて、自店の現状を数字の上から判断することが必要になりました。また、現場ではどうなのか、サロンのコンセプトに沿った内容になっているのかが大事な部分で、決して自店の方向性を見失わないことです。

関連記事