美容室を始めるときの開業届や必要届出書の種類と時期を解説!
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美容室の開業届や、必要書類の種類と時期を解説
美容室の開業には、届け出る場所とそこに必要な書類や資料、届け出る時期など知っておかないとならないことがたくさんあります。これも、オープンするために必要な事項ですし、経営者になる為の必要不可欠な事になります。そこで、ここでは手続きに必要な場所と、必要な書類、時期について解説していきます。参考にしていただきながら、オープンまでの流れをスムーズに行っていただき、新しいスタートの日を迎えていただけたらと思います。
必要な開業手続きと準備
美容室を開業させる為には様々な準備が必要になりますが、最初に決めておかなければならないのが、法人として会社を設立するのか、個人で個人事業主として始めるのかで、届け出る内容が変わってきます。
法人として会社を設立するのであれば、準備することの多さ、それに費用もかかりますし、役員会などで決定しなければならないことなどもたくさんあります。法人化する手続きは司法書士にお任せすることをオススメします。
一方、個人の場合でも家族で始めるのか、従業員を雇用するのかでも手続きの種類が変わってきます。どんな手続きをいつから始めたらいいのか、どこに何を届出るのかを説明していきます。諸届などの許可が間に合わなければオープンできませんので、必ず間に合うように準備しましょう!
開業するときに提出書類が必要な申請機関と時期
- 保険所への事前相談と届出
- 消防署への相談
- 税務署への届出
- 美容室が存在する市区町村・及び都道府県税事務所への届出
大変そうに見えますが、関係機関ごとに相談しながら順番に対応していけばスムーズに進むはずですのでご安心ください。何より、25万軒の美容室がこれを行ってきています。届出の中には開業してからでも良いものと、開業する前に届け出るもの、事前に相談が必要な事もありますので、ご自身でスケジュールを組んでおくことも必要かと思います。
美容師免許を持つスタッフを雇う場合や、家族でも有資格者が2名以上いる場合には追加の届出が必要になります。
(管理理美容師の修了証、本証提示義務)
また、店舗を新しく新築する場合と、改造する場合、テナント物件の場合では届け出も変わってきます。詳細は該当市区町村や関係機関のホームページを確認すると良いでしょう。不明の場合は関係各機関に問い合わせると詳しく教えてもらえます。
以下関係各機関に問い合わせしましょう
各都道府県 保健所 食品・生活衛生課
美容師法様式/(都道府県名)で検索すると
各都道府県別の美容所の開設、変更、廃止及び承継に関する手続き・届出様式が見つかり易いです。
管理理美容師の修了証
問い合せ先:(公財)理容師美容師試験研修センター
では、各機関への申請書や届出書について詳しく見ていきます。
保健所への届出
保健所への届出は工事着工前から相談します。美容室の構造・設備などが法律や条例の基準に適合しているかどうかの確認を取る為には、工事着工前に事前に相談が必要です。店舗の内外装の図面が出来たら相談に行くことをオススメします。作業面積、面積に対するセット面の数量、待合、床・腰張り、洗髪場、洗い場、消毒設備・機器、収納、照明、換気など細部にわたり設定事項が有る為です。
必要書類など
- 美容所開設届
- 構造及び設備の概要
- 美容所の平面図
- 美容師の免許証(写し)
- 美容師についての伝染性疾病の有無に関する医師の診断書
- 申請者が法人の場合は、登記事項証明書(発行6ヶ月以内の原本)
- 管理美容師をおく場合は、管理美容師であることを証する書類
- 従業者名簿(従業員を雇用する場合)
- 開設検査手数料(地域によって異なります。事前に確認ください)
- 外国人登録証明書、住民票の写し(開設者が外国人の場合)
etc…
相談:
施設の工事着工前に、施設平面図、設計図などを持参して、構造設備基準に適合しているか、事前に保健所に相談します。
届出:
開設の1週間~10日程前までに開設に必要な関係書類を管轄の保健所に提出します。
検査:
内装工事が完了して営業する施設が完成した段階で、保健所職員や監視員が施設面積、構造設備等が施設基準に合致しているか検査します。
確認書:
開設日の2日前までに検査を受けるようにします。施設の検査後に保健所で施設基準について審査をします。施設基準に問題がなければ、保健所から交付された確認書を受領できます。
開店:
お店をオープンして営業開始
消防署への確認は内装設計の前段階で
消防署への届出が必要な書類
店舗等の出店や入居の際、建物又はその部分を使用しようとする方は、使用を開始する日の7日前までに、防火対象物使用開始届出書の届け出が必要です。
- 必要書類
-
- 防火対象物概要表
- 案内図
- 平面図
- 詳細図
- 立面図
- 断面図
- 展開図
- 室内仕上表及び建具表など
なお防火安全技術者の事前工事内容確認で手間を省略することができることもあります。また、店舗等の修繕、模様替え、間仕切り変更等の行為をする場合は、着手する日の7日前までに防火対象物工事等計画届出書の届け出が必要です。収容人員が30人以上の場合は、防火管理者も必要になります。
開業場所のビルを管轄する消防署や、ビルを借りる場合は、オーナーや管理会社、内装施工会社等と相談しながら漏れがないように手続きを進めましょう。内装業者によっては工事の手続き上、必要書類を代行して行う所もあります。
税務署への届出
個人事業の開業届出・廃業届出等手続
新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。(所得税法第229条)
提出時期
事業の開始等の事実があった日から1月以内に提出してください。なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
青色申告を希望する場合
青色申告を希望する場合は、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。青色申告をしようとしている年の3月15日まで(1月16日以降、開業の場合は事業を開始した日から2ヵ月以内)が提出期限です。
なお、青色申告を行う個人事業主が、配偶者等、生計を一にする家族を雇用する場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出します。提出期限は青色申告を行う年の3月15日まで(1月16日以降の開業の場合、事業を開始した日から2ヵ月以内)です。
美容室の所在地を納税地にしたい場合
自宅の住所ではなく、美容室がある場所を納税地にしたい場合は、「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を税務署に提出します。提出期限はとくに設けられていません。提出の翌日から納税地が変更されます。
美容室が存在する市区町村・及び都道府県税事務所への届出
都道府県税事務所
事業を始めたとき・廃止したときの個人事業税に関する手続
個人で事業を開始し、又は廃止した場合は、所管の都道府県税事務所等に申告が必要です。
必要書類:事業開始(廃止)等申告書
申告期限:事業の開始の日から15日以内に申告をします。
尚、申告書の名称や期限が違う場合も有りますので、所管の都道府県税事務所に確認してください。
市町村
償却資産申告書
毎年1月1日時点の償却資産を、1月31日までに当該資産が所在する市町村へ申告します。
法人化する場合や従業員を雇う場合に必要な書類
個人事業主でも従業員を雇う場合は、税務署への届出や、労働保険、雇用保険、年金事務所への届出(従業員が厚生年金・健康保険に加入する場合)に関する手続きが必要です。具体的な届出の種類は下記のとおりです。
1.税務署に提出が必要な書類
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
(個人事業の開業・廃業等届出書を提出した個人事業主は提出不要)
事務所の開設から1ヵ月以内に提出
給与の支払者が、国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設、移転又は廃止した場合に、その旨を所轄税務署長に対して届け出る手続です。(所得税法230条、所得税法施行規則第99条)
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
源泉所得税は、原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっていますが、この申請は、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者が、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金について源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税について、次のように年2回にまとめて納付できるという特例制度を受けるために行う手続です。
1月から6月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税・・・7月10日
7月から12月までに支払った所得から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税・・・翌年1月20日
(所得税法第216条、第217条)
提出時期:
特に定められていません(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます)。また、納期の特例の要件に該当しなくなった場合(給与の支給人員が常時10人未満でなくなった場合)には、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を提出する必要があります。
2.労働基準監督署
・労働保険関係成立届:人を雇用した翌日から10日以内
・概算保険料申告書 :人を雇用した翌日から50日以内
3.公共職業安定所(ハローワーク)
・雇用保険適用事業所設置届 :事業所の設置翌日から10日以内
・雇用保険被保険者資格取得届:資格取得の翌月10日まで
公共職業安定所への届出は、労働基準監督署への届出のあとで行います。
なお、日本年金機構への届出が必要なのは、下記の場合に該当する美容室のみです。
・法人を設立して従業員がいる場合(事業主のみの場合含む)
・社会保険加入を希望する理美容業の個人事業主
人を雇う場合、労働保険の加入は必須ですが社会保険はそうではないため、加入・未加入、どちらのメリットが大きいかを考えて判断しましょう。手続きを怠るとさかのぼって徴収されることになり、追徴金も支払う事になりますので注意しましょう。
健康保険・厚生年金保険
・個人事業主は加入することはできませんが、従業員が希望する場合は任意加入可能です。法人設立した事業所は強制加入です。
法人として会社を設立時に必要な書類と届出を解説
公証役場
・定款(定款とは、会社を運営していく上で必要不可欠な基本的ルールを定めたもの)を作成し、公証役場において公証人の認証を受けます。(後の手続きに必要になります)
法務局
・法務局での商業・法人登記簿謄本,登記事項証明書(代表者事項証明書を含む)
税務署
・法人登記終了後に、「法人設立届出書」を提出します。
他、税法上の諸制度を利用する場合には、次のような届出も必要となります。
- 法人設立届出書(法人設立の日以降2カ月以内)
添付書類として
・定款、寄付行為、規則又は規約の写し 1部
・合同会社の社員の出資者の名簿 1部
・設立趣意書 1部
・設立時における貸借対照表 1部 - 棚卸資産の評価方法の届出書(最初の事業年度の確定申告書の提出期限まで)
- 減価償却資産の償却方法の届出書(最初の事業年度の確定申告書の提出期限まで)
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(給与支払事務所等を設けてから1か月以内)
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(随時(給与の支給人員が常時10人未満の場合)
- 青色申告の承認申請書
(法人設立の日以後3か月を経過した日又は最初の事業年度の終了日のいずれか早い日の前日まで) - 資本金の額又は出資金の金額が1,000万円以上の時(消費税の新設法人に該当する旨の届出書)
消費税項目に関して詳しくは国税庁ホームページで確認してください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/07_3.htm
都道府県税事務所・市区町村役場への届け出
・税務署には「法人設立届出書」の提出が必要でしたが、都道府県税事務所と市町村役場に対しては「法人設立・設置届出書」の提出が必要です。
提出期限は、東京都の場合は会社設立の日から15日以内、他は1ヶ月以内。税務署で配布している複写の「法人設立届出書」は、2枚目以降が都道府県税事務所と市町村役場に提出する用紙になっています。
労働基準監督署・ハローワーク・日本年金機構に提出する書類は、開業するときに提出書類が必要な申請機関と時期で記したものと同一のものになります。又、書類の作成に関しては専門の知識が必要になることもございます。税理士に相談することをオススメします。
まとめ
個人事業主であっても、独立して店を構えるには、社会から評価を受ける責任が発生します。このことを自覚し、経営者としての資質を高めていただければと思います。また、従業員を雇用する場合には、従業員の生活保障や万が一の時の保障などの雇用責任を果たさなければなりません。さらに、人材を育成し士気高揚させながら次の目標を定め、従業員全員の意思疎通を図り、邁進していきながら健全で活気あるサロンを運営していきましょう。
様々な手続きがありますが、手続きには就業規則(常時10人以上の労働者を使用する事業場において)や賃金規定などの提出を求められることもあります。また、従業員を雇う場合には雇用契約書を作成し、双方が保管しなければなりません。従業員の保障を手厚くする場合などには任意労災保険などもありますので、双方の安心にもなります。美容室と言う商売をするわけですから、地域の商工会議所などに加入しておくと、商売をする上での情報などが入手しやすくなり、労働保険事務組合なども利用することが出来ますので上手に活用しましょう。時代に合わせた繁盛店を目指してください。