美容師の出張サービスで開業! 訪問美容・出張美容とは?
美容師としての独立・開業の方法は近年で多様化してきました。開業という大きなリスクを背負わずとも行うことができる出張美容師サービス。今回はこの出張美容師による訪問サービスについて解説していきます。
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美容師の出張サービスとは
美容師の仕事に出張サービスがあることはご存じでしょうか? 自分の店舗を開業するまでに経験を積むため、就職して腕を磨いている人も多いでしょう。「技術に自信がついたとろこで、いざ開業」とスムーズに進めばいいですが、いざ開業準備に取り掛かったところで近隣に美容室が乱立し商圏が被ってしまい売上を伸ばす目安がたたない。なんてことはよくあります。
そこで、次の候補として次に上がるのが美容師の出張サービスです。出張サービスに目をつける理由は、他店舗との差別化にあります。基本的に出張サービスで対象とする客層は、店舗を構えて営業する美容室とは被りません。
仕事内容と主な客層
美容師の出張サービスとは具体的にどのようなことを言うのでしょうか? 具体的に確認・解説していきましょう。主な仕事内容としては店舗を構える美容師と相違はありません。カット、カラーなどをお客様に対して行います。ただ、大きく違うのはお客様が店舗に来店するのではなく、美容師がお客様のもとへ訪問するという点です。
その特性から出張理美容や訪問理美容などと呼ばれています。美容師の出張サービスを行う際に、美容師免許以外の特別な免許は必要ありません。ただし車での移動を検討しているのであれば、普通自動車の免許が必要になります。
客層についてはいくつかの傾向から自分のやりたいことや活動したい地域の特徴に合致してものを選ぶことになるでしょう。なぜ、客層が特定のものに限られるかというと、美容師の出張サービスの対象にしてよい場合が、法律や条例で定められているからです。ある県の例を挙げると、出張サービスを行えるのは以下の場合に限られます。
- 美容師出張サービス例
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- 病気や怪我で美容室に移動することができない人に施術を行う場合
- 結婚式や葬式などに参列する人に、当日など直前に施術を行う場合
- 介護施設などに入所している人に対して施術を行う場合
このような制約があるため、誰に対しても自由に出張サービスを行うというわけにはいきません。
施設などに訪問して行う場合
美容師の出張サービスとして代表的なのは、社会福祉施設に入所している人々を対象として行うものでしょう。特に介護系の施設では体を動かすのが難しい年齢の方が入所するため長く施設にこもりきりになる方も多いです。寝たきりで介護を受けている方は、外出もままなりません。
そこで必要とされるのが、訪問理美容サービスです。髪型を綺麗に整え、いつもと違うシャンプー施術を受けるだけでも、入所されている方にとっては大きなイベントです。また、ただ単純にカットをして髪の毛を整えてもらうだけではなく、訪問してくれた理美容師と会話をすることを楽しみにしている方も多いです。
自店に送迎をして施術をするパターン
訪問理美容師としては趣旨が異なりますが、普通に店舗として構えている美容室に送迎をして施術をするサービスを行うパターンもあります。完全に寝たきりの方を対象にするのは難しいですが、車いすで移動が可能な場合は設備を整えることで店舗に招くことが可能です。
また、自店舗で施術を行うのであれば、訪問理美容の対象者制限が適応されないため、利用者の分母拡大をすることができます。送迎サービスを展開するにあたって、法的に条件や規則などはありませんが、事故などが起きた場合に備え保険に加入する必要があるでしょう。保険ごとに補償対象や金額が違いますので、事前に保険会社への確認が必要になります。
出張サービスで開業する際の問題点
今後、日本の人口は高齢化が進み2025年には全人口の約18%が高齢者になると言われています。そのことにより理美容師の出張サービスの需要は高まっていくと考えられています。ただし、ニーズはあるものの、場所によってはすでに業者が入ってしまっていて新規参入の余地がない場合もあるので市場調査はしっかり行いましょう。
施設に出入りできるようになるためには施設側の許可をとる必要があります。つまり理美容師個人の営業力が大切になってきます。自分で交渉し契約をとる必要があります。営業が苦手な人はここが踏ん張りどころです。また店舗を開業し美容室と合わせて開業することも検討しましょう。その場合、出張サービスがうまくいかなくても持ち直すことができます。
美容師の出張サービスを行うための開業準備
理美容師の出張サービスがどんなものかのイメージはつきましたでしょうか? 大まかなイメージがつかめたら具体的な準備に入りましょう。まず、何より最初に確認しなければならないのが、自分が活動している地域の条例です。上述したのはあくまで一例なので、改めて各都道府県のサイトで確認を行いましょう。
都道府県によっては条件により必要書類が違ってきます。この時に他の地域の情報と間違えないように気を付けましょう。また都道府県のサイトだけではなく市町村サイトも確認しましょう。市町村によっては訪問理美容を展開する際に助成金を出していることがあります。開業資金を節約することは事業を続けていく上で不可欠になります。使用できる補助制度は見逃さないようにしましょう。
ターゲットの客層を決めることができたら、周辺地域に他店舗がどのように展開しているか調べる必要があります。どの施設にどの業者が出入りしているかを調べることは難しいかもしれませんが、商圏に空きがあれば店舗を構えて営業することも検討できるので無駄骨にはなりません。施設に出入りできるようになれば、そこに入所している方の多くが自分のお客様になってくれるでしょう。ただし、この営業は一筋縄ではいきません。顧客開拓は長期戦になることを前提に計画を立てる必要があります。
訪問サービスに必要な道具とは?
美容師の出張サービスを行う際には、ハサミやコームなどの基本的な道具だけでなく、状況に合わせた道具を用意しておくようにしましょう。特にあったほうが良いのは、移動式のシャンプー台です。施設内に理美容用の専用スペースを設けてもらえるなら別ですが、基本的には持ち込みするので、車に乗るか、メンテナンスしやすい、使いやすい高さかなどを確認したうえで購入しましょう。
体が不自由な人を対象とする場合は、お客さんをあまり動かすことができないので、やりにくいと感じる部分を道具で補うことが大切です。特に、居室内やベッド上で施術する際は、カットキャッチャークロスやベッド用のクロスなど、髪の毛をキャッチできるものを使用しましょう。
各都道府県、市町村にあったサービスを考える
美容師の出張サービスの対象者は多岐に広がります。事前に情報を集めどんな方がサービスの対象者なのかを把握しましょう。そして、そのお客様にはどんなサービスを行う必要があるのか考える必要があります。
まとめ
店舗を構える場合もそうですが、美容の出張サービスでも対象者の見極めがかなり重要になります。どれだけこだわって開業してもニーズがなければお客様をつかむことは難しいでしょう。定期的な情報収集や市場調査を忘れず行うことが成功への第一歩となります。
また訪問サービスを行うのであれば、「NPO全国介護理美容福祉協会認定福祉理容師」もしくは「日本美容福祉学会認定福祉美容師」の認定証を取得することをおすすめします。その他にも、「訪問福利美容師」の認定資格も便利ですので取得をおすすめします。