美容師の個人事業主の手続きとは? 節税方法も解説!

美容師 個人事業主

美容師になって経験を積んで独立する。

自分の夢に向かってまた新たな一歩を踏み出す。

その為に自分のお店を持ったり、フリーランスで働いたりと形態は様々ですが、どちらも法人化してなければ個人事業主となる為、色々な手続きで書類の提出など複数の行政機関に足を運ばなければなりません。

開業のタイミングと同じ時期になりますので、整理して準備を行っていく必要があります。

ここでは、美容師が個人事業主になる上で、どこに何の手続きが必要なのかを解説していきます。

また、合わせて節税についても紹介していきます。

開業届、青色申告承認申請書を提出する

個人事業主になると、納税地を所轄する税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出しなければなりません。

フリーランスの場合でも、同様に提出しなければなりません。

尚、提出期限は開業から1ヶ月以内と定められていますので、特に郵送で手続きする場合には日時に余裕を持って郵送してください。

また、開業届と同時に確定申告に必要な「青色申告承認申請書」も提出します。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」がありますが、節税には青色申告の方がよりメリットがあります。

将来規模を大きくしたい、何年か先には改装したいなどの融資が必要な場合には、金融機関の評価を経る為にも青色申告をオススメします。

但し、青色申告を申請するには期限までに書類を提出しなければなりませんので注意しましょう。

どちらの書類も税務署に行って受け取るか、国税庁のホームページからダウンロードすることが出来ます。

・開業届ダウンロード先
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
・青色申告承認申請書ダウンロード先
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

美容所登録を保健所へ提出する

美容室をオープンさせる為には「美容所登録」が必要です。

所轄する保健所に「開設届」を提出し構造設備等の基準を満たしているか検査を受けて合格しないと認可が下りません。

この場合、再検査が必要ですが、構造設備等の基準をクリアするために再度工事が必要になる場合もあります。

開設届の書式や、開業店舗の図面を持って保健所に於いて事前相談し、施工業者とも綿密な打ち合わせが必要になります。

国民健康保険に切り替える

勤務していた美容室を退職して独立し、組織に所属しなくなった場合には健康保険を「国民健康保険」に切り替える手続きが必要になります。

加入手続きは、退職後14日以内に住民票のある市区町村の窓口で行います。

保険料を計算し、保険証を交付します。

  1. 職場の健康保険をやめた証明書(健康保険離脱証明書)
    雇用保険被保険者証では手続きできませんのでご注意ください。
  2. 世帯主と加入される方全員分のマイナンバー(個人番号)が確認できるもの(マイナンバーカードなど)
  3. 世帯主等届出者(来所される方)の本人確認ができるもの(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
  4. 預貯金通帳・通帳の届け出印(口座振替による納付を希望する人)

国民年金に入る

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方で、厚生年金保険に加入していない方は、すべて国民年金の第1号または第3号被保険者となります。

また、国民年金第1号被保険者は毎月、保険料を納めることが必要です。

第1号被保険者の加入の手続きは、退職後14日以内に住民票のある市区役所または町村役場の窓口で行います。

年金手帳または基礎年金番号通知書を持っていきます。

万が一紛失してしまった場合には、所轄の年金事務所に相談してください。

事業を開始したばかりで資金繰りが大変な時には、市区町村の年金窓口か年金事務所で相談してみましょう。

国民年金の免除や猶予制度が適用される場合もあります。

美容師の個人事業主

個人事業主とフリーランスに違いはない

美容師の独立と言うと、店舗を構え開業するほかに、近年ではフリーランス美容師としてある店舗の面貸しでの営業をするスタイルも注目されてきています。

どちらの場合でも独立には変わり有りません。

従って、自分の店舗が有るか無いかだけの違いで、法的には同じ個人事業主になります。

店舗を持たない分、保健所への「美容所登録」がないだけで、他の手続きは同じになります。

課税を少しでも減らすには?

従業員として雇用されている時は、給与から税金も引かれている為あまり意識されている方は少ないと思います。

しかしながら、独立すると所得を少しでも減らし納税額も少なくしたいと思うものです。

そこで、個人事業主ならではの節税について説明します。

個人事業主の美容師は、売上から経費を引いて出来るだけ課税負担額を少なくする。

それは、個人事業主になると1/1~12/31までの期間を確定申告します。(青色・白色2種類あります)

確定申告とは、1年間の売上、原価、諸経費、利益を自身で確定させ、申告していきます。

申告した所得に応じて税金を申告・納税していきます。

その申告した利益により市町村の住民税や国民健康保険料の金額が算出されます。

個人事業主が納める「所得税」「消費税」「住民税」「個人事業税」のうち、最も負担が大きいのが所得税になります。

所得額に応じて納税額が決められるので所得額が増えるほど税額も多くなります。

所得額は次の通り決定します。

給与所得者:給与所得額=所得額
個人事業主:売上-経費=所得額

個人事業主は事業を行う上で必要な家賃、通信費、交通費などのかかった費用を経費として売上から差し引けるので所得額を減らし、課税負担を少なく出来ます。

ここの部分は経験しながら、節税する方法を勉強していきましょう。

美容師の個人事業主

白色申告より青色申告を利用する

年に1回の確定申告ですが、青色申告と白色申告があります。

青色申告をする場合には、事前に開業届と青色申告承認申請書を提出しなければなりません。

簡単な白色申告でも可能ですが、節税の大きな控除が受けられる青色申告がオススメです。

控除内容
  • 最大55万円の所得控除が受けられる
  • 赤字が3年間繰り越せる
  • 家族への給与経費化の上限がない
  • 家事関連費(※1)のうち事業用経費50%以下でも計上できる


尚、2018年の法改正により、2020年分の確定申告から青色申告の控除額が65万円から55万円に下がりました。(基礎控除額は38万円から48万円に引き上げられました)

今後も引き続き65万円の所得控除を受けるには次の条件を満たす必要があります。

  • 複式簿記で帳簿を付けている
  • 損益計算書及び貸借対照表を添付する
  • 確定申告を申告期限までに提出する(例年3月15日)
  • 電子帳簿保存かe-Taxで申告する


青色申告は帳簿のつけ方が複雑になって面倒というデメリットもありますが、節税効果も高いのでしっかりととりくみたいですね。

また、個人事業主になるということは経営者になるとも言えますので、帳簿のつけ方から申告の仕方までしっかりと勉強したいものです。

※1 事業用とプライベート用が混在している場合の事。光熱費や通信費、家賃などがあげられます。

事業用として使用している割合を経費として計上できる。

白色申告は青色申告よりも節税効果が低い

白色申告には帳簿が簡単でよいメリットがありますが、青色申告と比べると節税効果は低くなります。

point

  • 家族への給与経費化は85万円までと上限があります。
  • 家事関連費のうち事業用経費が50%以下だと経費計上出来ない。
  • すでに開業していて青色申告の申請をしていなくても、3月15日までに申請すれば翌年の確定申告から青色申告が出来ます。

    必要経費を漏れなく申告する

    税額負担を少なくしていくには、必要経費を漏れなく申告していきます。

    一般的に次の業務上必要な物は経費として申告できます。

    売上をつくる為の材料費は売上原価になります。


    費用に分類される勘定科目
    売上原価:仕入(ヘアカラー剤やパーマ液、処理剤、シャンプーやトリートメント剤などの業務用商材、販売目的の商品、シャンプー・トリートメント・スタイリング剤・ブラシや美容家電など)

    販管費および一般管理費

    勘定科目 概要と具体例
    租税公課 税金や公共料金として支払った費用
    個人事業税、固定資産税、不動産取得税、自動車税、登録免許税、印紙税
    荷造運賃 商品・郵便物などの梱包・配送費用
    ダンボール箱、緩衝材(発泡スチロール等)、ガムテープ、郵便手数料
    水道光熱費 事業運営に必要な水道料金・電気料金・その他エネルギー費用
    水道料金、電気料金、ガス料金、石油代、灯油代
    旅費交通費 移動費や宿泊費など
    電車賃、バス代、タクシー代、航空運賃、駐車場代、出張宿泊費
    通信費 通信(情報のやりとり)のために必要な料金
    インターネット料金、電話料金、切手代、はがき代、ファックス代
    広告宣伝費 商品やサービスの広告・宣伝に使う費用
    チラシ、新聞広告、看板、試供品、ポスティング費用、インターネット広告
    接待交際費 取引先や得意先の接待費用、事業に関わる人との交際費用
    取引先との飲食代、お得意先へのお祝い金・贈答品、取引先とのゴルフ代
    損害保険料 事業を万が一の事故や災害から守るためにかけた保険料
    自動車保険、自賠責保険、事務所の火災保険、賠償保険
    修繕費 建物や器具備品などの修理代
    自動車の修理費、事務所の改修・修理費、パソコン修理代
    消耗品費 10万円未満、もしくは使用可能期間が1年未満の消耗品を購入する際の費用
    文房具、電球、伝票、名刺、印鑑、CD、USB、10万円未満のパソコン
    減価償却費 高額な固定資産を一定期間にわたって経費計上する際の勘定科目
    パソコン、カメラ、コピー機、自動車、オフィスチェア
    福利厚生費 従業員全員の組織貢献度や勤労意欲の向上などを目的とした費用
    慰安旅行費、レクリエーション費用、お祝い金、お見舞金、従業員健康診断
    給料賃金 従業員に支払う給料
    青色事業専従者に対する給料は、下記の専従者給与に当てはまる。
    外注工賃 外部の業者に業務を委託する際の費用
    電気工事費、デザイン、ホームページ運営費、システム開発、加工
    利子割引料 借入の支払利息や手形の割引料など
    金融機関への支払利息、自動車ローン、住宅ローン
    地代家賃 オフィスや店舗の賃借料や使用料
    事務所・店舗家賃、駐車場料金、社宅家賃、倉庫使用料、土地使用料
    貸倒金 売掛金や貸付金の回収ができなくなった場合の経費処理で使う勘定科目
    売掛金、未収金、貸付金、前渡金
    雑費 必要経費で、他のどの勘定科目にも属さない少額費用
    ごみ処理代、クリーニング代、引越費用
    専従者給与 青色事業専従者に支払う給料
    青色事業専従者として従事している妻への給与

    個人事業主メモより

    条件付き経費

    接待交際費

    • 営業活動との関連、支出目的の制約
    • ・ 事業を展開する過程で、事業の特殊性を考慮して事業を円滑かつ有利に進めるための支出であること。

      ・ 支出が得意先、仕入先、その他、事業関係者のためのものであること。

    • 支出金額等の妥当性と適切な会計処理の制約
    • ・ 事業内容・事業規模から判断して妥当な金額でしかも支出回数が常識的であること。

      ・ その支出に関する会計処理が適正かつ正確に行われており、それを裏付ける領収書等が揃っていること。

      飲食費を交際費として計上する際には、日時や場所、誰と飲食をしたのか、いくら出費したのかといった内容が必要になります。

      特に「誰と飲食をしたのか」を明確にしなければなりません。

      福利厚生費か社内飲食費か会議費かが問題になるからです。

    減価償却費

    高額で長期にわたって利用できるものは、すぐに消耗するのではなく、徐々に価値が減っていくものとみなします。

    それゆえ、数年〜数十年にわたって、帳簿の上で少しずつ資産価値を減らし、その減った分を経費として計上します。

    これが「減価償却」です。

    たとえば、事業で使う小型車を100万円で購入したとします。

    これは高額で、長期にわたって利用できるものなので、減価償却する必要があります。

    この場合は、4年にわたって少しずつ経費計上することになります。

    このように、事業のために高価なものを買った場合、すぐに全額を経費計上することはできないわけです。

    基本的に、取得価額が10万円以上のものは減価償却することになります。

      減価償却資産目 一括償却資産 少額減価償却資産
    取得価額 10万円〜 10万円〜20万円 10万円〜30万円
    償却 定額法が基本 3年で均等償却 全額その年で償却
    合計限度額 制限なし 制限なし 300万円
    申告方法 白色申告・青色申告 白色申告・青色申告 青色申告のみ
    固定資産税 対象 対象外 対象


    一括償却資産は、ネーミングがややこしいですね。

    一括とはいいつつも、期間の面では3年で均等償却するわけです。

    一方少額減価償却資産の特例を適用すれば、一括でその年の経費に計上できます。

    通常の減価償却は、そのものの法定耐用年数に応じて償却します。

    個人技業主メモより

    経費扱いにならない費用を理解しておこう

    経費として計上できるものは、事業用に必要な経費になります。

    その為、プライベートと分けにくい費用に関しては経費として認められない場合もあります。

    一例として、店舗兼住宅として借りている建物の家賃と光熱費などは、全額経費として計上できません。

    事業として使用している面積や時間の割合で金額を決めて経費として計上します。

    また、職業上ファッションに気を使いますが、制服などの業務に使うことが明らかなものは認められますが、仕事以外の服飾を経費として計上することは難しいです。

    美容師の個人事業主

    美容師には個人事業税がかかる

    point

  • 個人事業税の課税対象となるのは、法律で定められた70の業種のみ
  • 70の業種は3つの区分に分けられ、区分ごとに税率が決められている
  • 美容師の場合、年間所得額に対して5%の税率が課税される
  • 個人事業税は地方税のひとつで、都道府県に対して納付します。

    個人事業主が事業をするうえで行政サービスを利用していることから、その経費の一部を負担する為の税金になります。

    対象となる業種が絞られていたり、控除されたりして、課税されない事業主もいます。

    個人事業税の課税対象となるのは、法律で定められた70の業種のみです。

    そのため、これらの業種に該当しない場合、事業税は課税されません。

    70の業種は3つの区分に分けられていて、それぞれの区分ごとに税率が決められています。

    美容師免許が必要な美容師の個人事業主は個人事業税の対象となり、年間所得額に対して5%の税率が課税されます。

    但し、事業主控除として290万円の控除額が認められています。

    また、課税所得金額が290万円以下の場合には、支払いが免除されます。

    課税所得金額=事業から生じる所得+青色申告特別控除-各種控除-事業主控除(年290万円)

    まとめ

    事業を起こし独立するためには社会人としてだけでなく、社会に仲間入りすることでもあり、経営者としても重要な責任と役割が生まれます。

    独立を意識した時からお店の事、お客様の事と目線が顧客へと行きがちですが、独立した店舗を構えるには、まわりの方々の支えがあってはじめて実現する物です。

    そのため、従業員でいた時の考え方から経営者としての考え方を身につけていかなければなりません。

    その第一歩が個人事業主になる為に各所に出向き、必要な手続きから始まっていきます。

    むずかしい手続きではないのですが、スケジュールを組んで余裕を持って行いましょう!

    開業の準備や色々な手続きの流れが分かると、仕事の内容にも役に立つはずです。

    また、個人事業主として節税対策もあります。

    毎日の取引の内容を帳簿につけて漏れがないようにしていきます。

    計上できる費用は経費化して、節税対策も行っていきましょう。

    必要に応じて、税理士に相談やサポートをお願いするのもいいでしょう。

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