美容室開業の融資と資金調達について

これから美容室を開業・独立される方、資金調達はお済でしょうか?

資金の調達には様々な方法があります。今回はその中でも【融資】についてご説明いたします。

多くの美容室では日本政策金融公庫を使われる方が多いです。詳しくはこちらのコラムに掲載してありますのでご覧ください。

美容室の経費と税金を理解してトップ経営者へ

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融資を受けるためのポイントは?

両手のひらにお金が浮かんでいるイメージ

美容室を開業しようと思っても、全額を賄えるほど自己資金がある人はいないと思われます。そんなときに助けとなるのが融資です。

今回は、美容室の開業資金として代表的な

日本政策金融公庫と地方自治体の制度資金について解説していきます。

美容室をはじめ全ての事業を開始するための融資を創業融資と呼びます。こちらは一般的な融資と違い審査のポイントが変わります。

一般的な融資は企業の実績や財務状況などの数字が審査のポイントになります。しかし、この創業融資では数字よりも内容がポイントとなります。

例えばいくら借り入れができるのか?といった内容に対して通常融資では自己資金額が審査のポイントになりますが創業融資では自己資金をどういった経緯で入手したかが重要となります。

金融機関は、堅実さを評価します。例えば実家から資金の一部を出してくれたとしても評価の対象になりにくいです。

1000万円の借り入れを希望していた場合に自己資金が300万円の人と親に出してもらった500万円の人では前者の方が信用度も高いです。

POINT

事業開始する融資を創業融資という
数字よりも内容が重要
金融機関は堅実さを評価する

また、事業計画書の作成も必須となります。

どのような事業を展開して、売上見込み、利益見込みを現実的な数字で記載する必要があります。こちらの数字に現実味がないと見破られてしまった場合信用度が下がり融資を受けるのが難しくなります。

融資の審査を行うのはプロの方です。

現実味がないことや、根拠のない数字はすぐに見破られてしまいます。創業融資では、堅実な数字で経営者としての資質をアピールする必要があります。

融資を受けるまでの流れ

資料を指差しながら話を進めている2人の手元

融資を受けるには、まず融資審査を通過できる条件を整える必要があります。
具体的には

① 美容師として3年以上の実務経験を積む

② 開業・運用資金の3〜5割を自己資本で用意

③ 信用調査に引っかかることをしない

上記等があげられます。自分の開業したい規模に合わせ自己資本の確保が必要になります。最初はいきなり大型サロンを開業するよりも中・小規模サロンから始めるのが一番です。

これらの融資審査条件をクリアすることができたら借入先を探します。銀行・金融公庫など自分の条件に一番合ったところで借り入れをしましょう。借入先が決まったら必要書類を準備し申し込みを行います。1度審査に落ちてしまうと次の審査が厳しくなる為、申込前には必ず会計士や税理士などに相談してください。

POINT

自己資本の確保が必要
1度審査に落ちると次の審査が厳しくなる
会計士や税理士などに相談する

融資の必要額を算出する方法

お札数枚と電卓とペン、バインダー

では、開業するためには一体いくらの資金が必要となり、いくら借り入れをしなければいけないのでしょうか?

これらの数字を出すためにはまず、開業資金と運転資金の2つを概算する必要があります。

開業資金

店舗の出店に関する費用。以下のような美容室をオープンできる状態にするまでに発生するもの。

・賃貸初期費用

・内装工事費

・設備費

・広告費

・材料費

運転資金

美容室がオープンした後に発生する以下費用。

・賃貸料

・人件費

・光熱費

・材料費

この2つを足したものから自己資本を引けば融資の必要額が算出できます。一般的に運転資金は3ヶ月〜6ヶ月分確保する必要があると言われています。あまりにも運転資金が少なすぎると少しのミスで美容室がまわらなくなり閉店する可能性が高まります。融資は借入となります。

多くの方はこの運転資金の算出が甘く閉店してしまいます。借金をすることはリスクが高まりますが初期はなるべく多くの融資を受けましょう。この算出が終わりましたら次は審査です。

美容室の開業に限らず、融資には審査がつきものです。主に次の3点が審査の明暗を分ける重要なポイントとなります。

融資審査の明暗を分ける3つの要素
  • 事業計画書
  • 自己資金額
  • 職務経験

融資を受ける機関によって何を重要視するかは異なりますが基本的にこちらの3つが重要となります。また、一般融資と同じで信用情報も重要なポイントとなります。多額のローンや公共料金、クレジットカードなどの支払いに問題があると審査に影響が出ます。信用情報に傷がつかないように普段から注意していきましょう。

利用できる主な資金調達先

お札を差し出す手と受け取る手

美容室の開業にあたり資金調達先として一般的なのは、日本政策金融公庫と地方自治体の制度融資となります。基本的に資金調達・融資として思い浮かぶ銀行は、創業融資には消極的な傾向にあります。銀行へ相談に行くと自治体を紹介されることが多くなっています。開業融資として使えるものはいくつか種類があります。

選ぶポイントとして次の3つを確認しましょう。

開業融資の確認ポイント
  • 金利
  • 担保・保証人
  • 融資の上限金額

日本政策金融公庫や制度融資は金利が1〜2%として一般的なローンと比べかなり低く抑えられています。ただ利用する制度により1%前後の違いはありますので利用条件と合わせて自分にとって有利なものを選ぶようにしましょう。

担保・保証人の有無もとても大切になります。保証人を快く受け入れてくれる人はいるのか? いない場合、保証協会に依頼する必要があります。この場合保証料が発生します。経営者本人の連帯保証人が必要となる場合は万が一お店が倒産した場合負債は経営者個人のものとして残ります。

融資を受けるときに必要額が借りられるのかどうかも重要となります。ここで注意したいのは、融資の上限=借りられる金額ではないということです。自己資本や事業所計画書によって借りられる限度額は変化していきます。

日本政策金融公庫

開業の際に一番多く使用されるのが日本政策金融公庫になります。美容室の創業融資として使用できるのは主に次の3つとなります。

創業に使用できる3つの融資
  • 女性、若者/シニア起業家支援資金
  • 新規開業資金
  • 生活衛生新企業育成資金

制度により上限や担保・保証人の有無が異なります。なお、生活衛生新企業育成資金を利用するためには生活衛生同業組合に加入する必要があります。

地方自治体などの融資

制度融資と呼ばれるこの制度は、各都道府県や市町村等の自治体が民間の金融機関や保証協会などと連携して融資を行う制度です。保証協会とは借主が返済できなくなった場合代わりに返済を行う保証人の役割をするようなところです。借主は保証をしてもらうため保証協会に保証料を支払う必要があります。

制度資金ではこの保証料を一部負担するほか、利用者が借りやすい環境を作ってくれます。詳しくは自治体のHPを確認しましょう。

銀行・信用金庫

融資の前におさらいです。銀行も1企業となります。そのため貸したお金が回収できなくなるリスクのある所へは貸し出しを致しません。そのため過去の実績が一切ない創業では融資を受けるために大きなハードルを越えなければいけません。そのため銀行で創業時に融資を受けるメリットは少ないと言えます。

まとめ

美容室の開業の際には必ず融資を受ける必要があります。その為には自身の資本、現状を確認し一番条件の良いところを探す必要があります。また、実績が何もないのにお金を借りられる制度はこの創業融資以外ありません。たった一度しか受けることのできないチャンスを活かしてみませんか?

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